HP Anyware Session Planning Guide

PCoIPのセッション構成

このセクションでは、PCoIPのセッション特性に直接影響するAnyware Agentの構成パラメーターを示します。他のセッション動作を管理する設定もあります。

お使いのホスト エージェント タイプおよびオペレーティング システムに固有の構成手順については、ここで説明しない設定も含め、以下の製品ドキュメントを参照してください。

Agentに関するドキュメント

以下のガイドは、HP Anyware Documentation Websiteから入手できます。

  • Graphics Agent for Windows - 管理者ガイド
  • Graphics Agent for Linux - 管理者ガイド
  • Graphics Agent for macOS - 管理者ガイド
  • Standard Agent for Windows - 管理者ガイド
  • Standard Agent for Linux - 管理者ガイド

セッション設定

以下のパラメーターは、PCoIPセッションの特性およびパフォーマンスに直接影響します。各パラメーターの具体的な設定手順については、上記のドキュメントを参照してください。

ロスレス構築

この設定では、プロトコルでロスレス構築機能を使用するかどうかを指定します。この機能は、帯域幅節約のため、初期設定では無効化されています。無効な場合、画像が真にロスレス状態になることはありません。

画像およびデスクトップ コンテンツをロスレス状態で構築しなければならない環境では、この機能を有効にしてください。ただし、使用される帯域幅は増えます。

セッション最大帯域幅

この設定では、PCoIPセッションの最大帯域幅をキロビット毎秒(kbps)単位で設定します。帯域幅には、画像、オーディオ、仮想チャネル、USB、および制御のPCoIPトラフィックがすべて含まれます。

初期設定は 900000 kbpsです。

この値は、エンドポイントが接続されているリンクの総容量に基づき、予想される同時PCoIPセッションの数を考慮して設定します。たとえば、シングル ユーザーVDI構成(単一のPCoIPセッション)で4 Mbit/sのインターネット接続を通じて接続する場合、この値を4 Mbit(またはその他のネットワーク トラフィックを考慮してこれより10%小さい値)に設定します。

最大PCoIPセッション帯域幅を300 kbps未満の値に設定しないでください(たとえば、ユーザー プロファイル別のサンプル ポリシーの表に示す「プロファイルE」)。

ユーザー プロファイル別のサンプル ポリシーの表に、各ユーザー プロファイルの最大PCoIPセッション帯域幅設定を示します。

セッション最大転送単位(MTU)

この設定では、PCoIPセッションのUDPパケットの最大転送単位(MTU)サイズを指定します。

初期設定は 1200 バイトです。

MTUサイズには、IPおよびUDPパケット ヘッダーが含まれます。TCPについては、MTUは標準のMTU検出機構によって設定され、この設定には影響されません。MTUは、500~1500バイトの範囲で指定できます。

通常、MTUサイズの変更は不要です。通常と異なるネットワーク セットアップのために、PCoIPパケットの断片化が起きる場合は、この値の変更を検討してください。 この設定はエージェントおよびクライアントに適用されます。2つのエンドポイントのMTUサイズ設定が異なる場合、小さい方のサイズが用いられます。

この設定が無効または構成されていない場合、クライアントは、初期設定値を使用してエージェントとのネゴシエーションを行います。

セッションの帯域幅フロア

この設定では、PCoIPセッションによって予約される帯域幅の下限値をkbps単位で指定します。

初期設定値は 0 のため、帯域幅フロアの予約はありません。

この設定は、エンドポイントの予想最小帯域幅伝送レートを構成します。なお、送信する必要のあるデータが少ない場合、セッションが使用する帯域幅はフロアより小さくなります。この設定は、主に次の2つのシナリオに有効です。

  • 無線ネットワークなど、低レベルのパケット ロスが継続するネットワークでは、この設定をバックグラウンドのロスより高いレベルに設定できます。そうすることで、Anyware Agentはバックグラウンドのロスを無視するため、この設定で指定された帯域幅レベルが維持されます。
  • この設定により、セッションの初期の応答性が向上する可能性があります。これは、使用可能な帯域幅をセッションが検出する必要がなくなるためです。

すべてのエンドポイントの合計予約帯域幅が過大にならないように注意してください。構成内のすべての接続の帯域幅フロアの合計が、ネットワーク容量を超えないことを確認してください。

(ユーザー数)×(最小帯域幅)<=使用可能なリンク帯域幅の90%

この設定はエージェントおよびクライアントに適用されますが、設定はそれが構成されたエンドポイントだけに影響します。

帯域幅フロアの構成例

ユーザーの種類リンク容量[Mbps]ユーザー数パケット ロス帯域幅フロアの構成例対応する帯域幅フロア ポリシー[kbps]
CADまたはクリエイティブ10010.1%リンク帯域幅の10%10000
 10050.1%リンク帯域幅の20%*20000
 10011%+リンク帯域幅の50%50000
ナレッジ ワーカー1010.1%リンク帯域幅の10%1000
 1050.1%リンク帯域幅の20%*2000
 1011%+リンク帯域幅の50%5000
タスク ワーカー110.1%リンク帯域幅の50%500
 150.1%リンク帯域幅の20%*200
 111%+リンク帯域幅の90%900

*帯域幅フロア値の合計が、使用可能なリンク帯域幅またはユーザー数を超えないようにしてください。

UDPリスニング ポート

この設定では、ソフトウェアによってPCoIPホストにバインドされるUDPエージェント ポートを指定します。

このUDPポート値は、エージェントがバインドを試みるベースUDPポートを示します。UDPポートの範囲値によって、ベース ポートが利用できない場合に試みるその他のポートの数が決まります。ポート範囲は0~10の値にする必要があります。

この設定はエージェントにのみ適用されます。

セッションのオーディオ帯域幅制限

この設定では、PCoIPセッションでオーディオ(サウンド再生)に使用できる最大帯域幅を指定します。

初期設定は 512 キロビット毎秒(kbps)です。

オーディオ処理は、オーディオに使用されている帯域幅を監視し、現在の帯域幅使用量を踏まえ、最高の音質を提供するオーディオ圧縮アルゴリズムを選択します。帯域幅制限が設定されている場合、帯域幅制限に達するまで圧縮アルゴリズムの選択を変更することにより、音質を低下させます。指定されている帯域幅制限内で最低限の音質を提供できない場合、オーディオは無効化されます。

この設定はエージェントにのみ適用されます。両方のエンドポイントでオーディオを有効にしない限り、この設定は無意味です。また、この設定はUSBオーディオには影響しません。

アクティブなPCoIPセッション中にこの設定を変更すると、変更はすぐに有効になります。

PCoIP画像品質レベル

このカテゴリには、ネットワーク輻輳時にPCoIPの画像圧縮レベルを制御する設定がいくつかあります。Minimum Image Quality、Maximum Initial Image Quality、およびMaximum Frame Rateの値の相互作用により、ネットワーク帯域幅が制限された環境での微調整が可能です。ビデオなどの動的コンテンツを表示する場合、連続するフレームは、Minimum Image Quality値とMaximum Initial Image Quality値の間で表示され、各フレームの品質は使用可能な帯域幅によって決まります。ネットワーク帯域幅が不足している場合、フレームは破棄されます。静的コンテンツは、最初にMaximum Initial Image Quality値以下で表示され、その後、ロスレス構築の構成に基づいて、知覚的ロスレスまたは数値的ロスレスの品質まで増やされます。

  • Minimum Image Quality: Minimum Image Qualityの値は、帯域幅が制限された状況で、画像品質およびフレーム レートのバランスを取るために使用します。指定できる値は30~100です。値が小さいほど高いフレーム レートが可能ですが、動的な画像コンテンツの表示品質が低下する可能性があります。値が大きいほど画像品質は高くなりますが、ネットワーク帯域幅が制限されている場合は、フレーム レートが低下する可能性があります。ネットワーク帯域幅の制約がない場合、PCoIPはこの値と無関係に最高品質を維持します。初期設定値は、HP Anywareの場合は40、Remote Workstation Cardの場合は50です。
  • Maximum Initial Image Quality: Maximum Initial Image Qualityの値は、表示画像の変化する領域の初期品質を制限することで、PCoIPが生成するネットワーク帯域幅のピークを下げるために使用します。指定できる値は30~100です。初期設定値は、Cloud Accessの場合は80、Remote Workstation Cardの場合は90です。値が小さいほど、コンテンツが変化した際の画像品質が低下し、必要なピーク帯域幅が減少します。値が大きいほどコンテンツが変化した際の画像品質が向上し、必要なピーク帯域幅が増加します。画像の変化しない領域は、この値と無関係に、プログレッシブにロスレス(完全)品質で構築されます。80以下の値を設定すると、利用可能な帯域幅が最も効率的に使用されます。初期設定値は、HP Anywareの場合は80、Remote Workstation Cardの場合は90です。
  • Maximum Frame Rate: Maximum Frame Rateの値は、1秒間の画面更新回数を制限することで、ユーザーあたりの平均消費帯域幅を管理するために使用します。指定できる値は、1~60フレーム毎秒です。値が大きいほど、フレームの遷移が滑らかになります。これは一部のグラフィックス アプリケーションには重要ですが、使用する帯域幅が増える可能性があります。値が小さいほど帯域幅が減少しますが、ソース フレーム レートが高いアプリケーションではジッタ値が増加する可能性があります。初期設定値は、HP AnywareおよびRemote Workstation Cardのどちら場合でも60です。

Last updated: Tuesday, June 11, 2024